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ヨーデルを歌うサル

  • nishimuratakeshihu
  • 4月10日
  • 読了時間: 2分

更新日:5 日前

西村教授らの国際研究チームが、中・南アメリカに生息するサル類で、新たな発声機構を発見しました。日本チームは、その生体機構を実験的に検証するために、サルの声帯を実際に振動させる吹鳴実験を行い、声帯と声帯膜の振動を突然切り替える機構を示しました。


「ヨーデル」をご存知ですか? アルプス地方で有名な謡い方で、声のピッチがジャンプするのが特徴で、耳にした方も多いのではないでしょうか。こちらは、当地でご活躍されている石井健雄(Takeo Ischi)さんのヨーデルです。現在も精力的に活動されています (こちら)。

ヨーデルでは、ピッチが非連続的に大きく上下するのが特徴です。


中・南アメリカ大陸に分布するサル類でも、このような非連続的なピッチ変化を伴う声のレパートリーがあります。まず、ヨーロッパチームが、当地の研究施設の協力を得て、生きた個体の声帯振動の計測に成功しました。ヒトの声楽訓練にも使われる声帯振動を計測するセンサーを使って計測したところ、ピッチがジャンプする際の振動の変化を捉えたのです。

実際の音声は、こちらです。。

しかし、この振動の変化の仕組みは、振動データだけでは分かりません。


その間、私たち日本チームとヨーロッパチームとは、サル類に声帯膜があることを示して、その声帯膜が声帯と相互作用を起こして、非連続的な振動が起きやすいことを示しました。その成果は、Science誌に掲載されています。


そこで、今回も共同研究です。日本チームが参画して、実際のサルの声帯を使って、その声帯振動の変化を再現して、その変化の仕組みを明らかにする実験を行いました。京都大学ヒト行動進化研究センターから喉頭試料を提供いただきました。喉頭の解剖学的特徴に関する詳細な知見を踏まえて、声帯と声帯膜の振動を切り替える仕組みを示すことに成功しました。さらに、その変化がどのように作られているのかを数値シミュレーションで検証して、ダメ推しです。



この国際チームの交流はもう10年以上になります。ここ数年、成果がどんどん出てきました。現在も、他のテーマで共同研究を進めています。また、近いうちに、新しい発見を音遂げできると思います。


書誌情報: Herbst, C. T., Tokuda, I. T., Nishimura, T., Ternstrom, S., Ossio, V., Levy, M., . . . Dunn, J. C. (2025). 'Monkey yodels'-frequency jumps in New World monkey vocalizations greatly surpass human vocal register transitions. Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series B: Biological Sciences, 380(1923), 20240005. doi:10.1098/rstb.2024.0005





 
 

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