生物人類学分野で行なっている音声、化石、歩行運動研究に関わる実験実習を行いました。研究分野がある人間科学部行動学系では、学部2回生を対象に、各研究分野持ち回りで実験実習を行っています。本研究分野は、12月6日の午後に行いました。

3つの課題を設定して、3班に分かれて順に実習を行いました。

音声: 私たちヒトは音声言語を操ります。音声を作る仕組みを理解する実習を行いました。ブタの試料を用意しました。喉頭・声帯を解剖して声帯と仮声帯を確認したあと、気流を送って声帯を振動させる実験装置を使って、実際に声帯を振動させて音源を発生させました。各人で声帯を色々動かして鳴らした後、音の質やピッチ(高さ)がどう変わるかを議論して、実験をしました。班ごとに、それぞれ異なる音源ができていて、良い議論になりました。

化石: 化石は、人類の進化を教えてくれる過去からの贈り物です。骨学実習を行いました。骨や歯が化石になります。化石を研究するためには、種ごとの骨や歯の特徴や、それが示す運動機能について知っておく必要があります。人類化石のレプリカとサル類の骨格標本を並べて、人類の特徴を見つけて、その運動機能について議論しました。

歩行: 人類は直立二足歩行する霊長類です。歩行運動の仕組みを比較研究する方法についてを行いました。関節にマーカーをつけて、複数のビデオカメラで歩行時の関節運動をモーションキャプチャするとともに、床反力計で足にかかる力と方向の変化を計測しました。サルでの実験結果を用意して、それと比較して自分たちヒトの特徴を解析しました。
生物人類学分野は、行動学系では珍しく、目で見えるものを扱います。データを得るには体力が要ります。また、言葉が通じないサルからデータを得るには、ヒトではない苦労があります。体力、気力、知力、ひらめきなど、体と脳をフル活動させて実験に挑みます。