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イルカも頑張ってます!!

2 日前
読了時間: 4分

寺田知功助教らの研究グループは、ハンドウイルカのコミュニケーションに関する研究と、カマイルカの認知に関する研究を行い、併せて2報の論文を掲載しました。ここでは、それぞれの論文について紹介します!イルカも頑張ってます!



まずはハンドウイルカから。よく、「ハンドウイルカ?バンドウイルカ?どっち?」と聞かれますが、どちらで呼んでも構いません。水族館関係者は「バンドウ」、研究者は「ハンドウ」と呼ぶことが多いです。理由はいろいろ言われていますが、まあ文化的なものです。


そんなハンドウイルカは、個体ごとに異なる「シグネチャーホイッスル」と呼ばれる鳴音を発します。ヒトでいう名前のようなものです。彼らはシグネチャーホイッスルを鳴き交わすことで、自分の位置を他個体に教えたり、個体関係を維持したりしています。


よくよく文献調査をしてみると、イルカではどうやら、鳴き交わす際に両者の鳴音がよく重なっているようなのです。一方、霊長類や鳥類ではあまり重ならない様子。これはイルカに独特な現象なのでは?そもそも本当に鳴き交わしなのか?と思い、研究をしてみました。


色々と調べた結果、鳴音は故意に重複させていること、この重複は相手の鳴音を聞いてから即時に応答することで起こっていることがわかりました。私たちヒトの会話では、声の重なりや長い沈黙を避ける傾向があります。一方、イルカたちは水中で音に強く依存して生きているので、鳴音が重複しても聞き分けられるのでしょう。つまり、ヒトのように、相手との沈黙は避ける一方、声の重なりは許容できるのだと考えています。鳴音は重なっているものの、鳴き交わしではあったのです。


本研究は、日本学術振興会特別研究員奨励費( 24KJ0074 )、科学研究費助成事業(22H05651、24H01436、23H05428、23K25168、26H01985)、および在日フランス大使館 Exploration France 2025 の助成を受けて実施されました。


Terada T, Lemasson A, Mishima Y, Morisaka T, Yuge H & Koda H (2026) Testing mechanisms underlying vocal overlap during vocal exchange of signature whistles in common bottlenose dolphins, Animal Behavior 239: 123680.



続いてはカマイルカです。対象は,新江ノ島水族館で飼育されていたオスの「クロス」です。推定49歳という高齢の個体で,長年にわたり様々なトレーニングを行ってきました。ちなみに、野生カマイルカの平均寿命は45歳。正真正銘のおじいちゃんです。飼育スタッフからは「じぃや」と呼ばれていました。


私たちが調べたのは,「鳴く・鳴かない,さらには鳴音の種類まで使い分けられるのか?」ということです。そんなの簡単だろ!と思ったそこのあなた。実は結構難しいのですよ。例えばニホンザルでは「鳴く・鳴かない」の訓練に、1年以上の長い訓練期間を要します。動物の認知実験には時間がかかるのです...


実験では,クロスに異なる視覚合図を提示し,「burst」と「chorus」という2種類の鳴音を鳴き分けてもらいました。さらに,「standby」の合図では鳴かずに待つことも覚えてもらいました。その結果,クロスは30日間,42セッションのトレーニングを経て,それぞれの合図に応じて特定の鳴音を発したり,鳴音を抑制したりできるようになりました。総訓練時間は1.5-2.5時間ほど。恐ろしく早い。元々トレーニングに長けていたとはいえ、早いです。飼育スタッフの話では、早い個体では1日で発声条件づけが成立するとのこと。やはり、水中で音に強く依存して生きているため、鳴音の操作は得意なのでしょう。


実はこの研究のあとも,新江ノ島水族館でクロスと一緒に,さらに発展的な認知実験を進めていました。しかし,その途中でクロスは亡くなってしまいました。まだ一緒にやりたかった実験はたくさんあり,研究が途中で終わってしまったことは残念です。


一方で,研究者として,クロスが何を学び,何ができたのかを論文という形で残せたことを嬉しく思っています。この研究が,クロスが生きた証の一つとして,これからも残っていけばと思います。論文には実験の様子を撮影した動画も掲載されています。ぜひ論文とあわせてご覧ください。


本研究は、日本学術振興会特別研究員奨励費(24KJ0074)および科学研究費助成事業(23H05428、23K25168、26H01985)の助成を受けて実施されました。


Terada T, Urasaki H & Koda H (2026) Experimental evidence for voluntary vocal control in an aged Pacific white-sided dolphin, Behavioural Processes 243: 105441.





 
 

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