秋は実験実習
- tshitarahus
- 11月19日
- 読了時間: 4分
11月7日と14日に、行動学系に進学した人科二回生に向けて実験実習をしました!
行動学系は、生物人類学研究分野を含む12の研究分野があります。二回生後期の実験実習では、それぞれがオムニバス形式で実験実習を担当します。
生物人類学の担当回では、学生を三班に分けて、音声実験・運動実験・骨学をローテーションしました。私たちの研究は、手を動かしてなんぼの世界です。学生の皆さんにも実際に手を動かしてもらって、理解を深めてもらいます。終わった後は、疲れた〜の声がちらほらと。
音声実験のパートは、西村教授が担当です。
ブタのノドを使います(ちなみに食用です)。まずは解剖して、音源を作り出す声帯を確認します。教科書を見れば書いてありますが、実際に自らの手で切り開いて、声帯の構造だけでなく、柔らかさやすべすべ感なども体験します。こうして体で覚えたことが、研究データの解析や解釈の肉となります。
次に、ブタの声帯を、実際に振動させる実験です。この日のために(?)、西村教授が汗水垂らして構築した吹鳴実験装置が稼働します (その詳細はまた後日)。声帯に気流を送って声帯を振動させて実験する装置です。解剖室で準備した喉頭を装置に取り付けて、声帯を振動させます!

声帯の振動の様子をハイスピードカメラで撮影しています。声帯は高速で振動していますが、ハイスピードカメラで超スローで確殺すると、波打つようにくっついては離れる様子が見て取れます。

最初はなかなかうまく振動させられませんが、徐々にコツをつかみ、上手に鳴かせることができました。声帯の状態を変えながら実験して、声帯がどのように声の高さや大きさを変化させるのかを議論しました。各班、実験の出来や結果が異なりましたが、声帯振動の仕組みの一端に辿り着くことができました。
さて、運動実験のパートは、設樂助教の担当です。
モーションキャプチャシステムや床反力計測装置を動かしつつ、サルとの比較を通じて、我々の二足歩行がいかに効率的かについてみていきます🚶

膝や腰の下に貼ってある銀色の球体は赤外線反射マーカーといいます。このマーカーの位置を特殊なカメラが自動追尾することで、リアルタイムでマーカーの座標をはじき出しててくれます!CG動画作成で使われることが多いですが、研究の現場でも威力を発揮しています。学生さんもマーカーを付けて、全員自分の歩き方を観察しました。
床反力計測装置とは、足が地面から受け取る力を計測してくれる装置です。

派手さこそありませんが、力のデータはサルとヒトの違いを明瞭に描き出してくれます。
全員装置の上を歩いてみて、自分たちが歩いているときに、どう動いて、それがどう力を変えているのかを、数値データとして観察しました。サルのデータは、私たちの研究データをお渡しして、自分たちと比較してもらいました。ヒトって、運動エネルギーと位置エネルギーを効率よく交換しながら歩いていることを実感してもらえたでしょうか。高校生の物理以来の話ですかね。
骨学のパートでは、大学院生の安富さんに手伝ってもらいました。理学療法士でもあるので、プロです。
いろいろなネコやサル、化石人類の骨を見比べて、ヒトの骨の形の特徴を手で触れながら見ていきます。特に、直立二足歩行に注目して、この歩行様式が、足だけでなく全身にわたって形態進化をもたらしたことがわかります。

骨の形は、機能的な(物理的な)意味があります。つまり、それぞれの種が普段行う行動と密接に関連しています。なぜそのような形になったのかについてみていきます🦴他二つの実習との関連を通じて、点(骨の形)と点(実際の機能)が結びついたようなら、レポートで高評価を狙えますよ!
生物人類学の研究では、実物をよく見て、手で触れる体験を大切にしています。ネットや本で見聞きした知識ももちろん役立ちますが、リアルに勝る情報源はありません。まだ紹介しきれなかった研究や実験装置もいっぱいあるので、ぜひ気軽な気持ちで研究室に遊びに来てください!(お菓子を用意して待ってます🍭)
実習の後は、鍋パで学部三回生の南さんの誕生日をお祝いしました!(今日は、なんか人が少ないな.....)

Lev. 21になったそうです!二十代いろいろなことがありますから、どうぞ日常を噛みしめて人生を謳歌してくださいね✌️



