中殿筋の論文を出版✒️
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設樂助教らのニホンザルの二足歩行と中殿筋に関する研究論文が、国際学術誌Journal of Human Evolution(JHE)に掲載されました。

思い返せば、2年前に初稿を他雑誌に投稿してから、投稿&リジェクトを繰り返した後にたどり着いたJHE。JHEといえば、人類進化学のトップジャーナルです。そこで待っていた約1年間の査読との格闘の末、ようやくアクセプトされた渾身の一本です。憧れの総合誌に載せる夢は叶いませんでしたが、その過程で多くのことを学んだ2年間でした。
この研究では、ニホンザルでも、二足歩行時には、ヒトの二足歩行時と同様に、中殿筋の機能が二足歩行に適応的なものへと変化することを明らかにしました。
中殿筋とは骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉です。二足歩行では、片足が浮いて、もう一方の足だけで立っている期間があります。ヒトでは、この筋が片足立ちの期間に浮いている脚の方に傾いていく骨盤を引き留めることで、左右に安定した二足歩行が実現されています。この中殿筋の機能は、骨盤のかたちが、サル的な背腹に扁平な形状から、ヒト的な背腹に幅広い「お椀型」の形状へと変化することがもたらされていると考えられてきました。

ニホンザルは四足歩行する動物です。骨盤や中殿筋をはじめとする腰回りの形態は四足歩行に最適化されています。本研究では、筋骨格モデリングと生体運動計測のマッチングに基づく筋モーメントアームのシミュレーションという設樂開発の独自手法によって、そんなニホンザルでも、二足で歩くと、中殿筋は、ヒトに見られるのと同じ機能を果たしていることを明らかにしました。つまり、二足歩行に必要な中殿筋の機能は、骨盤の形状が変化しなくても、姿勢が二足姿勢になるだけで現れることを示しました。

この結果は、二足姿勢への「行動の変化」が、「形態の変化」をもたらした可能性を示唆するものです。人類進化史における四足歩行から二足歩行の進化プロセスにはいろんな仮説があります。本研究で示された姿勢によって変わる中殿筋の機能の多義性・柔軟性は、四足歩行にも適応しつつも、二足歩行へとスムーズに変遷していく、直立二足歩行を支える身体の機能変容のプロセスを根底から考え直すきっかけになりました。
「サルの行動の中にヒトの始まりが垣間見える(ことがある)」のが、現生霊長類を対象にした実験的研究をしていて面白いと感じる瞬間です。
現在、次に出す論文を鋭意執筆中です。
こちらも早くお披露目できるように頑張ります💪
論文の内容の詳細については、別途解説しています。以下をご覧ください。
論文(Open Access): https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2026.103856



