人類学会で発表してきました!
- tshitarahus
- 10月15日
- 読了時間: 3分
10月10日(金)から13日(月)にかけて開催された第79回日本人類学会大会に参加し、西村教授と設樂助教、そして院生の安富さんが、研究の成果を発表してきました!
人類学会は、明治17(1884)年に東京大で設立された「じんるいがくのとも」という団体に端を発して今日に至る日本でも最古級の学会です。主として、生物学的・医学的アプローチから人類の特性やその変異、進化などを研究する研究者が一堂に介します。サル類はヒトに最も近縁なグループで、両者の比較研究はヒト・人類の生物学的理解に欠かせないアプローチです。私たちの研究分野からも毎年、研究発表を行なっています。
さて、下関はフグの町です。当地では福にも通ずる「ふく」と呼ばれることもあるとのことです。

会場の海峡メッセ下関のエントランスには、かわいらしいフグの提灯が飾られていました🐡

海峡メッセから関門海峡を望みます。向かいの大きな山は九州です。手前の小さな小島が、有名な巌流島。関門海峡はまるで川ですね。
さて、西村教授は、一般口演「テングザルにおける外鼻による音声の個体性形成について」の発表。テングザルと人類?と思われるかもしれませんが、ともに複雑な重層社会を生きており、それが声の個体性を強調するような進化を起こしたのではないかという話でした。

たまには真剣な顔して話もできる西村教授。
設樂助教は、シンポジウムに招待されて、「ヒト中殿筋・小殿筋の二足ロコモーションへの最適化」の発表。歩行中に左右の揺れを抑えて安定した歩行を実現する中臀筋・小臀筋の詳細な三次元形態モデルの作成法の開発と、それによる筋作用のシミュレーション結果について話をしました。実に綺麗な結果で、会場からの質疑・反響も大きいかったです。

いつ通り真面目に話する設樂助教。
最後は、安富さん。

発表を前に意気込む安富さん。
今回は、安富さんが一番大忙しでした。初日の若手会員口演と、最終日のシンポジウムでの発表です。ギリギリまで、スライドを修正し、ストーリーを練って挑みました。
最初の発表は、「腰部の可動性が生み出す二足歩行戦略の差異:ニホンザルとテナガザルの体幹運動の比較」。ニホンザルとテナガザルの運動制御の違いを見出したものです。従来、運動実験データをもとにした運動学的・力学的研究はよくあったのですが、そこから運動をどう制御しているかという運動戦略を論じるアプローチは新鮮でした。馴染みのないテーマや手法をどう聴衆に理解いただけるかを模索し苦労しました。
シンポジウムでは、「霊長類二足・四足歩行時の体幹運動の比較」という発表。ニホンザルの体幹運動と手のリーチの関係について解析したものです。こちらはドンピシャの専門家だらけで、質疑も細かいところまで及びました。

お父さんは頑張ってます。(二児の父)
こうして、無事に学会発表も終えました。
もちろん発表は緊張しますが、場数を踏むと徐々に楽しさも感じてきます。
というのも、いただく質問・コメントの質は自分のプレゼンの出来不出来の写し鏡です。
核心に迫る質問・コメントを受けたときは、ギクッとくるかもしれませんが、それは内容を理解してもらえた証拠です。
自分の見落としていた点に気づかせてくれて、研究や構想を前進させてくれるコメントをいただけるように、頑張りましょう🔥
来年は、日本人類学会・日本霊長類学会・日本生理人類学会の三学会合同大会です。
聴衆のバックグラウンドの幅もぐんっと広がります。
オモロイ発表ができるように、日々是精進。



